「自分なりにできていること、少しでも楽しめることは何ですか?」
カウンセリングでも、クライエントのもつ強みを伺うようにしています。
なぜなら「強みを見出せる」ことは、
こころの安定や、健やかな生き方につながる(※)からです。
ですがこの「強み」は、
当たり前にできていることのため、
残念ながら、見逃しやすいという側面があります。
「自分の強みを生かしたいけれど、
自分には一体どんな強みがあるんだろう?」との思いに応えるため、
「強み」分析ツールをご用意しました。
キャリア選択のための自己分析や、
ご自分の強みを見つめなおしたいときに、お役立てください。
≪ 進め方 ≫
- まずは「あまり考えこまずに」がポイントです。
全60の強みがあります。直感的に進めていきましょう。 - 60の強みに回答が終わった後も、
<再チャレンジ>と出ることがあります。
この後も、引き続き回答してください。
強みを 5つ以下 に絞っていきましょう。 - こうしてあなたを代表する「強み」を選出します。
選出ができたら、次のステップに移ります。
「強み同定尺度」(駒沢・石村,2014)-石村郁夫・駒沢あさみ(2015)Appendix 1より。
「あなたの強み」が選べたら…
「強み」を選び出すプロセスは完了です。お疲れ様でした!
あなたの強みを生かしていくために、
もう一歩、自分を見つめていきましょう。
選び出した強みについて「できていること」は何でしょうか?
強みの選出プロセスで、何かよぎったエピソードはありませんか?
どんな些細なことでもいいので、できていることを挙げましょう。
このとき、この「できていること」を、メモに残すこともおススメです。
単語程度でも構わないので、書き出しましょう。
やり方としては、
選出した強み一つひとつに、じっくり取り組んでもいいですし、
「できていること」を思いつくままに挙げていってもいいでしょう。
そして「できていること」は、
最終的には、行動の形で挙げられると理想的です。
たとえば、「人と協力することができる」強みについては、
・「上司の○○という指示にしたがって、□□の作業をした」
・「リスクのある要望であっても、お客様のニーズをひとまず受けとめる」
のように、具体的な行動で考えられると、
「強みの生かし方」が見えてきますよ。
***********************************
※ 石村・駒沢(2016)によれば、
「強みを自覚している数」が多い人ほど、
成長し続けられる感覚や自信が高く、
一方で、不安感は低いとの報告があります。
具体的には、強みの自覚数と、
「人生に関する前向きな気持ち」や「自信」に関連する『 主観的幸福感 』、
「自己受容」「人格的成長」に関連する『 心理的ウェルビーイング 』、
「気分が沈んでゆううつだ」等の『 抑うつ傾向 』との関係を調べ、
強みの自覚数の少ない群に比べて、多い群は、
主観的幸福感、心理的ウェルビーイングがともに高く、
一方で、抑うつ傾向は低いという結果を報告しています。
この報告からは、多くの強みを自覚している、
つまり、なるべく多くの観点から自分を見つめ、強みを見出せると、
自信や、成長し続けられる感覚を持てると言えるでしょう。
参考文献
石村郁夫・駒沢あさみ(2015).大学生における強みの自覚がうつ・不安症状に及ぼす影響 東京成徳大学臨床心理学研究,15,209-216.
石村郁夫・駒沢あさみ(2016).強みと心理的ウェルビーイングとの関連の検討 東京成徳大学臨床心理学研究,16,173-180.