【心理塾】「子どもの自立」において押さえておくべき、たった1つのルール

子どもの自立に何が大切なのか、というと
それは「 投げ出さない 」ことです。
「投げ出そうとする親がいるか」とお叱りをうけてしまいそうですが、
子どもの情緒的な育ちについて解説を加えながら
「投げ出さない」とはどういうことか、見ていきます。

まず、子どもの自立には、
「 依存がないと人は自立できない 」と言われます。

2歳くらいから子どもは、
できるはずのことでも、
『やって』『抱っこして』と駄々をこねて
こちらが「やってあげようか」とすると、
『そうじゃない』と癇癪を起こしたり、『じぶんでやるんだ』と主張したりと、
親としては「いい加減にして」ととても言いたくなる時期ですね。
いわゆる「イヤイヤ期」。
児童心理学の分野では、第1反抗期と言われます。

子どもにとっては、できることが増え
自分でもできる!と、とても得意気ですが、
それは同時に、
お世話をしてもらえない不安、見離されてしまう不安につながります。
つまり、自分で体を動かして、親からどんどん離れられるんだけれど、
一方では、あやしてほしい。目を配って欲しい。そうして安心したい。
『できるよ』と『やって』
この相反する願望があります。

ここで、
「いい加減にして」と投げ出されることは、
子どもにとって恐怖でしかないのです。
安心を求める子どもを「もう大きいのだから自分でやりなさい」とつき離せば、
子どもは恐ろしくてしがみつきます。
これは依存をじゅうぶんに満たせていないということ。
自立を促そうとして失敗する、という背景には、
依存を満たせていないことがあります。

つまり、「依存がないと人は自立できない」とは、
安心感のある関係に後押しされて、人は自立に向かっていける、ということです。
できることが増えたように感じる分、
親としては、
子どもの見離されてしまう不安も忘れずに、フォローしたいところですね。

相反する願望があるのは
情緒が豊かになってきた証であり、
これは「イヤイヤ期」だけに限られた特徴ではありません。
とはいえ、「イヤイヤ期」は子どもの主張がはじめて強くなって
どのように関わったらいいのか、親御さんは戸惑いがちです。
「よしよし」とあやしていればいいのではなく、
できたことに「いい子ね」と関心を示せばいいのでもない。

理想的な関わりとしては、そのどちらかだけではなく、
ときどきは抱っこしてほしいんだよね、と思いを受け止めながら
子どもの思いを尊重して「じぶんでやってみる?」と自立へと促していく。

実際には、簡単なことではありませんね。
大人の都合で「今はちょっと付き合えない」と子どもの要求を断ったり、
時には余裕がなく「やっちゃダメ!」と強くストップをかけたりして
後から「あの対応でよかったのだろうか…」と不安になる。
そこに、まわりからの理解や支援があると
「またやってみようか」とふみとどまりやすいですが、
最悪な場合、「投げ出してしまいたい」との思いにつながることもありうる訳です。

パーフェクトにしようと最善を尽くしても
思うようにいかないのも、子どもの育ちであり、子育て。
いつもいつも理想的でなくていいんです!
子どもの『やって』と『できたよ』に、
できるだけ目を配りつつも、
親は親で「自分」を大事にすること。
できないときは「それはできない」と伝えること。
子どもも成長と共に『仕方がない。我慢するか』と受け入れていきます。


こうした柔軟さは、子どもの世界でも、大人の社会でも求められますから、
まず親子の間で『できないこともあるよね』ができるためには、
親がパーフェクトであることは、むしろお勧めできません。

good enough(ほどよい)がいい、とも言われますね。

「 家族は社会の縮図 」です。
他の人づきあいと同様で、
子どもだからと言って「遊んであげなきゃならない」のではなく、
子どもの世界に関心を寄せつつも、
親は親で、自分を押し殺さない。無理しすぎない。
それが「投げ出さない」ためにも大事です。
時には、子どもと離れる時間を作ってみましょう。
結果として「子どもが可愛い」と思える余裕が生まれたなら大成功!

最後に、
ここまでお子さんを無事に育ててこられたこと、
そのあなたの子育てに自信を持ってください。
時には投げ出したくなるのも子育てですが、
お子さんが育っていることが、
投げ出さないで関わってきた証です。
もうすでに100点満点なのです。

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