【心理塾】テクニックよりも大事なこと

解決志向ブリーフセラピーをはじめ、
心理療法と一言で言っても、
実に多くのアプローチが確立され、
専門的な技法を身につけることが推奨されています。
確かに、有用な技法は
心理カウンセラーをはじめ、
対人援助職には大きな武器になりますが、
それだけでは成り立たないのが、
難しいところであり、同時に
やりがいのあるところでもあります。

ワークショップに参加したときのことです。
スケーリング・クエスチョンという
クライエントの主観的なものについて
10点満点のスケールでの自己評価を通して
クライエントの強みやできていることを引き出していく非常に有用な質問の一つを
カウンセラー役となってトレーニングしていました。

せっかくのワークですので、
スケーリング・クエスチョンの一連の流れにのっとって聞き役に徹していたわけです。
それはもう丁寧に。笑

すると、面白いことが起こったんです。
クライエント役が「これに怒っていたんだ」と大きく頷いているんです。
そして、大きな気づきだと晴れ晴れとした表情でお話しくださいました。

何が起こっていたかというと、
ワークとしては本来、
スケーリング・クエスチョンを用いて解決に向けて対話を進めていくものですが、
クライエント役の反応には
「聞かれたから応えているものの、そうじゃないんだよなぁ」
そんな雰囲気を感じていたのです。
そこで、スケールのワークに取り組みつつも、
「話についていく」ことに重点を置きました。
クライエント役から語られたエピソードに
好奇心をもって、想像を巡らせて。
クライエントの価値観を尊重して。

ここで言う「話についていく」というのは、
「クライエントから教えてもらう」姿勢で関わること。
ワークで扱えるくらいのちょっとしたエピソードとはいえ、
そのエピソードにクライエント役が感じたり、考えたりするものは
クライエントにしか分かりません。
解決志向ブリーフセラピーにのっとるなら、
「クライエントが、自身の問題解決のための専門家なのだ」
という<発想の前提>に立って
謙虚さを忘れずに、丁寧に対話を重ねる。

ここで私が感じたことは、
謙虚に関わることの大切さ。
ここでスケーリング・クエスチョンにこだわって
例えば「今の状態から1点上がったとしたら、どんな状態?」
「そのために役立つことは?」等と
解決を優先して引っ張りすぎていたら、
(やってみないことにはわからないものの)
「それは望んでいないし、今すぐにはできない」思いがふくらんだかもしれません。
そして、その思いが大きくなればなるほど、
クライエント役の気づきは遠のくでしょう。

有益なアプローチは様々にありますが、
効果を実証されたものであったとしても、
クライエントのペースに沿わずに運用されてしまえば、
クライエントとしては、しっくりこないものになり、
またカウンセリングがギクシャクしたものと感じられます。
つまり、技法だけに頼りすぎると
クライエントが置き去りになりがち。

心理カウンセラーという、
こころの専門家だからこそ、
クライエントの表情、価値観、コミュニケーションのとり方等に注意を払って、
クライエントのペースを尊重する。
謙虚な姿勢を常に心がけたいですね。

尚、このワークでのスケーリング・クエスチョンは
無意味なものだったかというと、
「しっくりこない」なりにも「何かもやもやしたものがある」感覚をもたらす、
そんなとっかかりになったかもしれません。
そういった意味では、決して無意味ではありません。
スケーリング・クエスチョンが役に立たないのではなく、
いかに使うか、が大事だということです。

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